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あやめ池学園南九条の会 ざっくばらん・車座・トーク
2006.10.22.
今 正秀(奈良教育大学助教授)
なぜ 変える? 教育基本法
〔1〕教育勅語と戦前の教育(大日本帝国憲法下の教育)
・大日本帝国憲法下の教育 「臣民」の国家に対する義務←よき「臣民」となるため
*国家にとって、教育は「忠良な臣民」をつくりだすための手段→「忠良な臣民」とは?
・教育勅語 大日本帝国の歴史解釈・歴史認識(国家と「臣民」の関係)、
「忠良な臣民」像、それをつくりだすための教育のあり方を、明治天皇の意思として表明=国民の関与を許さない
*「忠良な臣民」 「一旦緩急アレハ義勇公ニ奉シ以テ天壌無窮ノ皇運ヲ扶翼」
教育勅語の根本的問題点 人間の内面・精神の自由を奪い拘束
国家が「臣民」としての生き方を示し従わせる 一人一人が自らの生き方を考える必要ない=思考停止に
従わないものは「非国民」として排除
・教育の内容 「忠良な臣民」をつくりだすのに役立つ「教材」、学問的真理とは無縁
国定教科書制度 教育内容は国家が決定=教育内容を国家が支配・統制
*国民は、一方的に国家への奉仕を求められる=国家が国家意志を達成するための手段
最高の奉仕である「義勇公ニ奉シ」死者となれば、天皇によって慰霊される⇒靖国神社
靖国神社 天皇による死者の慰霊を生者に見せることで、生者に天皇のための死を「自発的に」、「よろこんで」受け容れさせるための装置
・なぜこのような教育を必要としたか
大日本帝国 後発的資本主義国 国家目標:「万国対峙」 そのための国民統合不可欠
〔2〕教育基本法と戦後の教育(日本国憲法のもとでの教育)
・日本国憲法下の教育 人権としての教育
個人の人権を実現する最も基礎的な営みとしての教育
*「義務教育」 保護者は子に教育を受けさせなければならない
国は、国民の教育を受ける権利を保障しなければならない
・教育基本法 :教育勅語のもとでの教育に対する反省の上に、日本国憲法の理念に沿い、
日本国憲法の理念を実現するための教育の理念や目的を抑制的に宣言し、国家による教育への介入を禁止・・・日本国憲法との一体性
(憲法の示した)「理想の実現は、根本において教育の力にまつべきもの」(教基法前文)
*日本国憲法の理念
人権尊重 一人一人の人間を大切に
平和
共生
〔3〕教育基本法を、いま、なぜ、どのように変えるのか
・「いま」をどのような時代と見て、どのような教育が必要と考えるか
〈中央教育審議会答申(2003年3月)〉
「これからの国境を越えた大競争の時代に、我が国が世界に伍して競争力を発揮」
していくために必要な「人材」育成・・・国家や財界の立場から見て必要な国民の育成
「21世紀を切り拓く心豊かでたくましい日本人の育成
(1)自己実現を目指す自立した人間の育成
(2)豊かな心と健やかな体を備えた人間の育成
(3)「知」の世紀をリードする創造性に富んだ人間の育成
(4)新しい「公共」を創造し、21世紀の国家・社会の形成に主体的に参画する日本人の育成
(5)日本の伝統・文化を基盤として国際社会を生きる教養ある日本人の育成」
「教育は未来への先行投資」「適切な政策評価→施策の重点化・効率化」
・自民党「教育基本法案」の根本的問題点
第二条 教育の目標 国家の求める「国民」としての資質を示す
⇒再び、国家が国民に生き方を示し従わせようとしている=精神の自由奪う
・新自由主義の立場に立つ「教育改革」を正当化し、推進
→自由な競争によって、よりよいものが生み出され、勝ち残っていく
→競争の結果としての「格差」=社会の分裂容認 「自己責任」
→「ごく少数のエリート」と「大多数の非才・凡才」
→「日本人」としてのナショナル・アイデンティティで弥縫←核としての「愛国心」教育
→不満を蓄積する社会低位層への抑圧(警察力強化)
・教育振興基本計画(法案第一七条)の問題性
政府による計画策定 :国会による民主的コントロール及ばない
国家の教育支配強化 :教育内容にまで国家の統制が及ぶ
国家による目標設定→自治体による実施→国家による評価→結果に応じた資源配分
→国家は実施責任を負わないまま、目標設定と評価・資源配分で支配強化
*「教育基本法案」が意図する教育 憲法理念の実現を位置する教育とは無縁
現行教育基本法の「日本国憲法の精神に則り」削除
日本国憲法と一体の教育基本法「改正」→憲法「改正」への地ならし
〔むすびにかえて〕
教育のあり方を規定するもの 国民・社会・国家が、「いま」をどうとらえ、どのような「未来」を築いていこうとするか
→子どもたちにどのような未来を用意しようとするのか
→子どもたちにどのように育ってほしいのか
大日本帝国の教育 :国家による教育支配、教育の手段化がもっとも成功した例
→それは、日本人自身に、また、アジアの人々に何をもたらしたか
21世紀の教育を考えるためには・・・
21世紀をどのような世紀にしていこうとするのか、という課題と切り離せない
日本国憲法の描く社会・国家 平和と共生・・・いま、この理念を捨てる必要があるか
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